[記事公開日]2013/06/26
[最終更新日]2016/07/12
歯のカルシウムは、普通は口の中のpH(ペーハー)の状態によって、絶えず溶け出したり、また取り込まれたりしています。このバランスがとれている間は、「歯が溶ける」ということはありません。
しかしpHが5.5より強い酸性の中では、歯のカルシウムは溶け出し続けます。すると、バランスが崩れて、「歯が溶ける」ということになります。
胃食道逆流症(逆流性食道炎)でむし歯になるというのは、胃液が強い酸性であるためです。
胃液の中に含まれる胃酸は、驚くことに、なんとpH1~2の「塩酸」です。そのため逆流して口の中にまで上がってきた胃酸が、歯のカルシウムを溶かしてしまうのです。
カルシウムが溶けた歯にむし歯菌がつくと、どんどんむし歯が進行してしまいます。また、嘔吐を繰り返すタイプの拒食症でも、歯が悪くなることがあります。これも胃酸によるものです。
胃酸は食物の消化吸収や、バクテリアやウイルスを殺す解毒作用など、重要な役目を担っています。
しかし、歯に関しては要注意です。
胃酸が逆流することで、むし歯だけでなく歯ぎしりや知覚過敏の原因になることもあります。
胸焼けやげっぷ、胃酸の逆流その他、胃食道逆流症の症状がある方は、原因をみつけて治療するのはもちろんのこと、歯の状態もいちど調べてもらうとよいでしょう。